菱形用紙からつくる紙風船






伝統折り紙「折り鶴」は 正方形以外の用紙からも折ることができることが知られていて、
これは ときどき幾何の授業の教材につかったり、出張講義の題材にしたりしています。

たとえば、川崎敏和著「バラと折り紙と数学と」などに詳しく解説されています。

ところで、折り鶴が 正方形以外の用紙から折れるのならば、他の伝統折り紙作品も
正方形以外の用紙から折れるのではないでしょうか?そこで、「風船」について
考えてみました。


「風船」とは以下のような伝統折り紙です。実際には 立方体の形をしています。



風船はどのような紙から折ることができるでしょうか?
風船の折り方の手順のなかに次のような部分があります。
多分、この下図の形を風船の基本型というのだと思います。
風船の基本型はページを開くようにめくると4枚の三角形から出来ています。



さて、上図のオレンジの矢印の折り方でぴったり重なるためには、 下図の青と赤の三角形の部分は2等辺三角形でなければいけません。


ということは 青と赤を合わせた三角形は直角三角形ということになります。

また、この直角三角形の斜辺の中点の部分が「風船」の「空気を入れる穴」の部分
になりますから、この「空気を入れる穴」の部分が1個所に集まるようにするためには、
直角の頂点から斜辺の中点までの距離AMが 基本型を構成する4枚の三角形で等しくないと
いけません。ところが、2AM=BC ですから、この条件は 基本型を広げた四角形において
4辺の長さが等しい、つまり 用紙が菱形であることを示しています。



ということで、早速 菱形の用紙から折ってみましょう。


まず、菱形の用紙を用意して、上図のように折り目をつけます。


折り目に沿って折ると、自然とこのように基本型らしき形ができあがります。
狙い通り、前面には直角三角形が現れて、2つの二等辺三角形に分割されています。


表と裏の直角三角形の斜辺の両端を上の頂点に重なるように折ります。
前面に現れているのは傾いた長方形ですね。


表と裏の長方形の角を中心線に重なるように折ります。
ここでは中心線に平行な折り線で折りました。


一つ前の写真で左端をさっき折り返した小さい三角形の内部にしまいたいのですが、
正方形の用紙のときのようにそのままでは収まらないので、適当に折込んで
三角形の中に収まる形にします。


折り込んだ部分を小さい三角形のなかにしまいこみます。


そうしたら穴から空気を吹き込んで、膨らませると、


変な形の風船のできあがり。笑


以下は別角度から見たところ。





側面4枚が菱形で、上と下は三角形2枚でふたをしたような形になっています。
以下は 立体視用の写真。平行法でご覧下さい。




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