紙でつくる空間グラフ





過去の表紙で なんどか 紙でつくった結び目を紹介したことがありました。
結び目とは (wildな結び目を除けば)空間内の単純閉曲線のことです。
また、いくつかの結び目が絡んだ形を 絡み目といい、
結び目理論では この結び目および絡み目が 主たる研究対象となります。

そのため、これらは よく研究されています。

そこで、考えたのですが、結び目や絡み目に限定せず、空間内の
分岐をゆるした曲線の集合体を 紙でつくることを考えたらどうでしょう?
これで何か 面白そうなものがつくれないかな、というアイデアは以前から持っていました。

空間内のいくつかの頂点集合および、それらの頂点の間を結ぶ互いに交わらない曲線の集合体を
空間グラフといいます。実は 空間グラフの理論というのも 比較的新しい分野だと
思いますが、ちゃんと研究されています。

さて、空間グラフを紙でつくるためには そのグラフを線がまじわらないように連続的に
変形して、平面グラフすることができなければいけません。
平面グラフとは 平面に 線が交わらないように埋め込まれたグラフのことです。

上記のように 平面グラフへ変形できる空間グラフのことを
ここでは「ほどける空間グラフ」と 呼ぶことにします。
#空間グラフの理論をきちんと勉強したことはないので、
#一般的な用語かどうかは知りません。

結局、紙で何か面白い空間グラフをつくるには、
ぱっと見に ほどけることが分からないような、空間グラフを考える必要が
あるわけです。これは 難しそうです。

が、今回はアテがありました。
#blogの方には その思考の経緯を隠して話をしました。

というのはですね。こういう3つ編みを ご存じでしょうか?



この3つ編みの3つの帯はすべて切れ目なくつながっています。
また、写真でわかるように両端で3つの帯はつながっています。
この3つ編みが一枚の紙から作成可能であることを知ったのは中学生のころだったと思うのですが
(ブルーバックスの本で読んだ)、そのとき大変 驚いたこと、および、
すぐに フェルトでつくってみたことをよく覚えています。


この3つ編みをもとにして考えると、何かができるんじゃないか、と考えたのです。


1 2 3 4

まず、1番の写真の3つ編みでから 画像2のように 切れ込みをいれることを考えます。
3つ編みが一枚の紙からつくれるのだから、切れ込みをいれても紙から作れるはずです。

すると、画像2の上部と下部に 解消可能な交差が現れます。

そこで、画像3のように その部分を解消してしまいます。
紙の裏表や捻りのことを考えると、はたして 解消しても大丈夫か(最終的に紙でつくれるか)
という問題もありますが、とりあえず ほどける空間グラフを目指して 解消してしまいます。

最後に 画像4のように空間グラフらしく 帯の太さをそろえてみますと、
これが 今回の表紙の空間グラフと対応していることが見て取れるとおもいます。

ということで、空間グラフとして 今回の表紙の造形がほどけることは分かるのですが、
じゃぁ、実際に つくってみる、、となると 難しい、難しい。
すぐにこんがらがります。


また、3つ編みだけでなく、4つ編み以上も 可能なはずですから、その方向で考えれば
もっと複雑な 一見してほどけることがわからない空間グラフも作れるはずです。







もどる。