スポンジ[3,4,3,4,3,4,4]




交差法で立体視できます。


これは ポリドロンという教具で作っています。もともと、
2005/9/16あそびをせんとやをみて、 思いついた造形です。

なかなか解説を書く暇がないうちに、「あそびをせんとや」のほうでhhase氏が
いろんな図で、丁寧に解説してくださっているので、形そのものについては
そちらをご覧ください。(汗)


だけど、ちょっとだけ 考えごとを解説します。



まず、正多面体や準正多面体を 対称性に焦点を当てて考えてみます。
図形の対称性とは、その図形を変えない動かし方がいくつあるか、
つまり、その図形を不変にする合同変換がいくつあるか?
もっと数学的に言えば、自己同型群の大きさです。
ただし、ここでは 自己同型として 鏡映、つまり 向きを変えるようなものも
含めることにします。

例えば、正多面体は全ての面が同一の正多角形ですが、
どの2つの面をとっても、その片方の面をもう一方へ移すような自己同型が存在します。
そういう意味で、すべての面が対称であると言えます。
このとき、面について可移であると言われます。

また、どの2つの頂点をとっても、その片方をもう一方へ移すような
自己同型も存在します。ですから、すべての頂点が対称で、
頂点についても可移というわけです。



正多面体の定義は 凸多面体のうち、
「面がすべて同一の正多角形で」「すべての頂点のまわりの立体角が合同」
であるもの、と書かれていることが多いと思うのですが、
「面がすべて正多角形で、自己同型群の作用が 面について可移で、頂点についても可移」
と定義したほうがすっきりするような気がします。

つぎに準正多面体ですが、準正多面体の定義としては、凸多面体のうち
「面がすべて(複数種類の)正多角形で」「すべての頂点のまわりの立体角が合同」
なもの、と定義されますが、
「面がすべて正多角形で、自己同型群が頂点について可移」
と定義しても同値です。



さて、以上は凸多面体の話でしたが、頂点に集まる角の和が360゜を越える
凸でない「多面体」についても 同様の考えで 定義を進めたいと思うのです。

というのも、Coxetorのいう「正スポンジ」では 「双対をとることができる」等の
条件があるようなのですが、どうにもそれがすっきりしない気がするのです。


各頂点に360゜を越える角があつまる「多面体」(面数は一般に有限ではない)のうち、

「面がすべて正多角形で、自己同型群の作用が 面について可移で、頂点についても可移」
であるものを「正スポンジ」、

「面がすべて正多角形で、自己同型群の作用が 頂点について可移」
であるものを「準正スポンジ」、

としてはどうでしょうか?この定義で、準正スポンジが どれだけあるのか?
というのが興味深いところです。


一種類の正多角形で出来る「スポンジ構造」については
こちらの佐久川さんのサイトを みると 結構 考察されているようですが、
準正スポンジのようなものについてはあまり聞きません。
凸多面体は オイラー数、曲率等によって、何らかの形で有限に抑えられるのですが、
双曲的なスポンジは難しいようです。



さてさて、と、ここまで考えて、今回の造形をよく見てみます。





頂点のまわりには 正三角形と正方形が 3、4、3、4、3、4、4の順番に
並んでいます。その立体角はすべて同一です。ですから、頂点のまわりの立体角は
すべて合同なのですが、なんと、実は頂点について可移ではないんです。

ですから、自分で定義しておいてなんですが、これは準正スポンジとは言えませんね。笑


ですが、この造形は、 凸多面体の世界とは違って、スポンジの世界では
「頂点の立体角がすべて合同」であることと、「頂点について可移」であること
が同値では無いことを示しています。
むむむぅ。

他には例えば、過去の表紙97の形は「準正スポンジ」[4,4,6,4,4,6]です。

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