多面体のグラフの球面上コイングラフ表現







忙しくてなかなか解説ページが書けませんでしたが、
今日は仕事をする気になれない一日でしたので、(って、休日ですけどね)
思い切って説明用の画像をいくつかつくりました。

過去の表紙92で 一般化したpropellor 作用素を施した多面体のCGを載せましたが、
何が大変って canonicalization が大変なのでした。canonicalizationとは
与えられた多面体を もっとも「自然な形」に変形することです。
具体的には
1)面はすべて平らで、
2)辺はすべて単位球面に接し、
3)頂点の重心は原点に一致する。
というものでした。単位球面に外接、内接ではなく、
「すべての辺が単位球面に接する」という2番の条件が面白いです。
実際に canonicalizeしたp-立方体と「単位球面」を描いてみますと、
つぎのようになります。



ところで、一つの頂点に着目すると ある点から単位球面へ接線を引いたとき、
接点までの距離は常に一定です。



ということは、各頂点を 中心として、「その点から単位球面へ引いた接線の接点までの距離」を
半径とする球面を描くと、辺で繋がった2つの頂点に対応する2つの球面は必ず接するようになります。



かくして、canonicalizeした多面体に対応して、
各頂点を中心にもつ球の一群で、「多面体の辺がつなぐ2つの頂点を中心とする2つ球面が必ず接する」
という性質をもつものをとることができます。



これらの球体群を 単位球面で切り取れば 最初の画像になるというわけ。



「頂点の集まり」と「頂点同士を繋ぐ辺の集まり」の成す組み合わせ構造のことをグラフといいます。
グラフの各頂点に対応して、円をひとつずつ描き、
「頂点が辺で繋がっている」⇔「対応する円が接する」
となるようにできるとき、それらの円の集まりをグラフのコイングラフ表現といいます。
今回の図は canonicalizeされた多面体は自然に
多面体のグラフの「球面上のコイングラフ表現」を与えるということを表しています。




さて、他の多面体についても同様の構成を行った画像を載せます。
各円の中心にもとの多面体の頂点があると思うと、元の多面体が見えてきます。



これは P2+3i-正12面体の球面上コイングラフ。



これは propellor-正12面体の球面上コイングラフ。



これは propellor-正20面体の球面上コイングラフ。




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