立方体の斜め編み と p-多面体





ちょっと前に載せていた写真の模型、ぐぐぐっと
編み目が小さくなるように絞ってみました。(上の写真)
これは 立方体の(3/4)の斜め編みだったのです。

ここ数回、立方体の(K/N)の斜め編みについて書いているわけですが、
そもそも何故 この新しい斜め編みに至ったか、というとp-多面体(Propellorized Polyhedra)
との関係があるのです。

p-多面体については G.W.Hart氏が考案したもののようですが、
あそびをせんとやこのあたり
で 分かりやすく日本語で解説されています。
以下を読む前に、そちらをお読みになることをお勧めいたします。

まず (1/2)の斜め編みを考えて見ましょう。
これは過去の表紙30に載っているものです。

図1 図2 図3

図1がその(1/2)の斜め編みです。

この斜め編みの帯と帯でできる交差する部分の四角形を「面」として
全体を「面」がつながってできた「多面体」と考える(図2)と、
その「面」の繋がり具合はp-立方体そのものです。
図2からそのことがわかっていただけるでしょうか?
p-多面体とは 元々の多面体の面の周りに四角形をつけたプロペラ状のものを
すこし回転させたようにしてつないだ多面体なのです。
図2では元々の立方体の面とそのまわりの四角形でできるプロペラ状の部分を色で示しています。

また、帯の中心をたどる線(図3の赤い線)で立方体を分断して
できる領域を「面」として全体を「面」がつながってできた「多面体」と考える(図3)と、
その面の繋がり具合はp-正8面体そのものです。
図3がそのことを示しています。ここでも 元の正8面体の面のまわりに四角形をつけた
羽が3つのプロペラ状の部分を色で示しています。




さて、つぎに(1/3)の斜め編みを考えて見ましょう。 これは過去の表紙29に載っているものです。

図4 図5 図6
図4は過去の表紙29の模型の帯と帯の交差部分を面とするように線を入れたものです。
この「多面体」も図5のようにプロペラ状の部分に分割できます。
これは何のp-多面体でしょうか?
よく見るとプロペラの角が3つ集まる部分と、4つ集まる部分があって、
プロペラの中心の面はすべて4角形です。
じつはこれは 菱形12面体のp-多面体、つまり p-菱形12面体なのです。
さて その双対、つまり 帯の中心線をたどってできる「多面体」はどうでしょう? この場合 模型の「小さい穴」が「面」に対応します。図6をみてください。 そのような「多面体」としてみてみると これはp-立方8面体なのです。

さて 表題にある(3/4)の斜め編みはどのp-多面体と対応しているのでしょうか?
(3/4)の斜め編みの 帯と帯の交差部分を4角形の「面」として見ると、
じつは これはp-p-立方体になるのです。
(p-p-立方体の図は あそびをせんとやの こちらのページの下のほうを是非ご覧ください。
とても美しいです。)


#実は 03年10月12日のあそびをせんとやをみて、pp-立方体の帯編みについて考えるうちに、
#一般化された(K/N)の斜め編みに気づいたのでした。


さて、では 一般に(k/n)の斜め編みは 何らかのp-多面体と対応しているのでしょうか?
もし、そうだとして (k/n)の斜め編みは それぞれk、nが変化するとき どのp-多面体と
対応するのでしょうか?G.W.Hart氏のページ内にある多面体作用素で記述できないでしょうか?


03.10.28追記
p-多面体と対応しない斜め編みはあります。
というのも 帯と帯の交差を「面」と考えたとき、「面」はすべて四角形ですから、
p-多面体になるためには 面の数が5の倍数でないといけません。
(十字のプロペラに分割されるはずだから)
今回 示した 上の 3つの例は

(1/2)の斜め編み→「面」の数=(1+2)×6=30 → p-立方体
(1/3)の斜め編み→「面」の数=(1+3)×6=60 → p-菱形12面体
(3/4)の斜め編み→「面」の数=(3+4)×6=150 → pp-立方体

で どれも「面」の数が5の倍数となるものでした。 でも 例えば

(2/3)の斜め編み→「面」の数=(2+3)×6=78

で 5の倍数にならないものがあります。

その他 分かっていることでは あそびをせんとやの こちらの画像
をみると、pp-菱形12面体は(1/7)の斜め編みだということが見て取れます。

さて、ppp-立方体は(k/n)の斜め編みになるのでしょうか?
もし そうだとすると ppp-立方体の面の数は6×125のはずだから、
+n=125になります。
そのような k,nの組は (2、11)か (5、10)ですね。
どうなんだろう?


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