雨水のpHは降水量と関係あるのでしょうか?


次の図は,兵庫教育大学で (July 1994 - July 1995)の期間中に 採水した雨水のpH(縦軸)とその試料の降水量(横軸)の関係を図にしたもの です.

中村浩一,西村文友,唐錦秀和,尾関徹(兵庫教育大学)の測定による (1996).

  • これから,降水量が少ないほど,雨水のpHのばらつきが大きいことがわかります.これは,降水の初期には,大気中に浮遊している硫酸,硝酸のような酸性物質のほかに,炭酸カルシウムやアンモニアのようなアルカリ性物質を吸収して降水となるので,pHの値がばらつくのだと考えられます.このように,降水時に,大気中に浮遊している汚染物質を取り込みながら落ちてくることを wash out (降水時洗浄,雲下洗浄)といいます.

  • 逆に,降水量が多い場合には,初期降水の寄与は,後続の降水の寄与によって打ち消されます.そこで,降水量が非常に多い場合には,日本の降水の平均 4.6-4.8 に近づいていきます.後続の雨水では,もともと雨雲中の雲粒が含んでいた汚染物質によって決まるpHになります.雨雲は移動中にも大気中の汚染物質を吸収します.このような汚染過程は rain out (移動時洗浄,雲内洗浄)と呼ばれています.この過程で吸収される主な汚染物質は,日本の場合,硫酸や硫酸アンモニウムであると言われています.

  • wash out の寄与は,降水時の汚染物質の吸収ですから,降水している地点のローカルな汚染を反映していると考えられます.一方,rain out の寄与は,雨雲が何百kmと移動するので,比較的グローバルな汚染を反映していると考えられます.日本列島は南北に弓なりに長い島国ですが,雨雲の移動から考えると,rain out の寄与は全国ほとんど変わらないと思われます.