問6の答え(初等算数 2002年度)


私の期末試験は どの科目も 大抵 5問構成になっておりまして、 末尾に

問6 (どれもさっぱり分からない人のために)何か面白いことを書いて下さい。

とあります。私としては 黙々と試験の採点だけをしていると 滅入って来るので
何か面白いことが書いてあれば、採点が少し楽しくなるかな、
と思って始めたんですが、毎年、

授業の評価、授業への要望、個人的質問、日々の楽しい話し、 おかしな思い出、ちょっとした数学的発見、算数についての質問等

さまざまなものが寄せられます。

ところが 授業が終ってしまうため、書いてくれた学生に対して 直接 返事、フィードバックを返す場が ありませんでした。
今年から 試験的に webを使って 「問6の答」を紹介しつつ、
返答を書いていく予定です。

ちなみに 問6の答については 各学生に 掲載の許可不許可を 確認させて頂いています。



ちなみに、問6は ほとんど点数がありません。
何か 書いてくれた場合は 1点か2点。
興味深い内容の場合は 3点か4点。
それくらいの点数しかありません。
また、授業を良く評価してくれても、
悪く評価してくれても 点数には関係ありません。


今回のトップ オブ 問6 はこちら。

問6
中学3年生だった私はまだまだ人をだますというコトをしらない ピュアな少女でした(笑)
というのは もうすぐ文化祭というので クラス毎の合唱の選考委員が 放課後遅くまで残って クラスの自由曲を選んでくれました。 そして合唱コンクールを 楽しみにしていた私は 「○○ちゃん(選考委員)、自由曲 何に決まった?」 と心を弾ませながら聞くと
「ごめんなぁ、、、私の趣味で『カエルの合唱』になってしまってん」
と言われ、
「は?」と思いながらも その女の子が本当に申し訳なさそうにしているので
「ううん、スゴク良いと思う!!今までに無かった感じだし、クラスの一人一人が 順番に輪唱していって最後に全員で唄ったら感動するかもしれないヨ♪」
と 顔を引きつらせながら 彼女を精一杯励まし、彼女の努力をたたえました。
そして、その彼女の意思を大切にしようと、私は家に帰って何度も何度も練習し、 しまいには弾き語りまでしてしまいました。(恥)

そして そんな日が続いたある日のこと、私に衝撃が走りました!!!!

それは ホームルームで彼女の口から発せられた言葉、、、
「自由曲は『大地賞賛』です☆」、、、。
その瞬間、『カエルの合唱』を弾き語りまでして毎日練習していた自分、そして あれ程までに『カエルの合唱』が趣味だという彼女のことを一生懸命ヨイショして いた自分の馬鹿さ加減にあきれました(泣)、、
あ、もちろん彼女のことを 恨んだりなんかしてませんヨ。(引きつり)
コメント:かなり爆笑してしまいました。(笑)
でも クラス一人一人が輪唱していったら 本当に感動するかも。


次の答え。
問6
(中略)黒板の字が薄くて、前のほうに座ってもなかなか見ずらい
ことがありました。ノートを早く取らないと、、と思っても 読めるのに
時間がかかってしまって、、。もう少し 濃く(もしくは大きく)書いて
頂けると来年からの人もノートがとりやすくなるのではないでしょうか?
昔は マイクを使っていませんでした。
ある日 授業直後に 廊下でタバコを吸っていると 女子学生がやってきて
「すみません。教室がざわついていて 聞き取りにくいのでマイクを使って もらえませんか?」
といわれました。その次の週からは マイクを使うように なりました。
ということで もっと早めに言ってくれれば 気をつけたのですが。。
字が薄いというのは 初めて言われましたが、 次回からは 気をつけてみます。

それと 板書が速い と 書いている人が まだ結構いました。
いつも 授業中、黒板を消す時に 教壇を往復して、
学生の皆さんの 手元を見て、ノートがあらかた終わっているかな?と確認してから
進めていたのですが、、
まだ速いでしょうか?例年に比べても 今年は ゆっくりめだと 思いますが。。。
ただ 時間配分が うまくいかず 授業の最後の15分くらいで すこし 速めになったところは2回くらいありました。
それは今後気をつけようと思います。



次の答え。
問6
僕は計算等は得意なほうだと思っていました。
数学は難しくても 初等算数ならまだ何とか出来るだろうと思い、この授業を取ったのですが、
授業を聞いて
「何これ、意味わかんねぇ」
と思いました。
「ユークリッド?mod?意味不明な言葉ばかりだゾ」
毎度授業を受けるたびに そう思い、周りを見ると、 他の人も「わけがわからん」という顔をしていました。
ここに面白いことを書けと、ありますが 僕がおもしろいと思ったのは
この授業のだましうちっぷりです。受講者全員だまされました。
これからこの授業を初等算数ではなく カルトな算数と呼ぶようにします。
授業で未知の言葉ばかり出会いました。
えーと、どこから話そうか。
授業で未知の言葉に会うのは あたりまえではないかな。
授業で既知の事ばかり教わっても意味がないでしょう?

ユークリッドの互除法も modの計算も 意味不明ではありません。
ひとつ、ひとつ 授業で説明しましたよね。
いきなり難しい用語を使ったりすることなく、
足し算、引き算、掛け算、割り算から始めて、
予備知識なく分かるように 努めたつもりですが。

新しい内容について話すたびに、具体的な数を持ち出して
具体例を多く提示することにも 努めましたし、
文字を使った短い証明よりも、数字を使った例を通して 仕組みが見える説明をと
心掛けたのですが。

説明されても、知らない言葉が出ただけで 拒否感が湧いてしまうのでしょうか?
まだ 若いのだから もうすこし 好奇心と柔軟な心を持ってみても良いのでは?



次の答え。
問6
数学は苦手です。でも先生の授業は楽しかったです。なんかいろいろ。
私がもっと理解力のある人間だったらもっともっと楽しかったのだろうと
思うと少し残念です。また色々な「不思議なこと」を見せてください。
(以下略)
ありがとうございます。
「全部は分からなかったけど 面白かった」といってもらえると
もちろん 分かってもらったほうが うれしいんですが、
授業やってよかったなと 思います。


次の答え。
問6
数字は面白いなと思いました。今まで知らなかった規則性とかが分かって
面白かったです。初等算数だから 小学校で勉強するような内容の授業なのかな
と思っていたけれど 高校よりも難しかったです。
さすがに小学校で勉強するような内容(九九の合唱とか?)を大学で
やるわけにもいきませんね。笑

ただ、私の担当分の授業には 微分も積分も出てきません。
(一箇所だけ2項展開が出てきてしまうんですが それ以外は)
足し算、引き算、掛け算、割り算についての性質が主です。
ユークリッドの互除法は 割り算を繰り返して 最大公約数を求める方法だし、
modの計算は 「割った余りが等しい」というのを 記号で表しただけです。
それだけでも 面白い計算がたくさん出来ます。面白いかどうかは 主観なんだけど
面白いと思ってもらえれば 授業の目標はかなり達成されています。:)


次の答え。
問6
問5は 全く手をつけることができませんでした。
0の数が 2004個ではなく、24個くらいだったら
頑張って計算したのですが、、、。
"初等算数" 楽しかったです。もともと、数学は好きなほうですが、
もっと好きになりました。ありがとうございました。って
全然、おもしろいこと書いてないですね。すみません。
あ、今 何を作られているのですか?気になります、、、。
頑張って計算するんじゃなくて 簡単に計算できるところがミソなんですがね。

試験時間に 教壇でつくっていたのは 鶴の折り紙です。
でも ちょっと特別なものです。
江戸時代に発行された 折鶴の本で「秘傳千羽鶴折形」という本があります。
この本には 数々の変わった折鶴が載っているのです。今回つくったのは
そのなかでも 中くらいの難しさの『青海波』のサイズひとつ小さい版です。
青海波の作り方の原版が ここ
そして 出来上がりの写真が ここ に(ただし この人の作品ではサイズがひとつ大きい!)
あります。


次の答え。
問6
面白い話ではないですが、問5の答えとか 解き方がよく分からないので またwebページででも公表してください。
えーと 問5ね。
簡単に説明しましょう。

20000、、、、、0003と 「0」が 2004個 並ぶ数は
2×102005+3 と書くことができます。
(ここで 2005を2004とか2006とかに間違えている人が結構いた)

2003で割った余りが知りたいのだから modの式にするといいだろう、
ということは 分かると思うのですが、
問5には 1÷2003は 1001桁で循環すると 書いてあるので

101001 ≡ 1 mod 2003

であることが分かります。(この式だけ 書いてあった答案結構ありましたね。)

ですから

2×102005+3
≡ 2×(101001 × 101001× 103)+3
≡ 2×(1 × 1 × 1000)+3
≡ 2003
≡ 0 (すべて mod 2003)

よって 余り0が答えです。


次の答え。
問6
昨日は あまりに分かっていない私の質問に丁寧に答えて下さって
ありがとうございました。私は中学校の頃から 数学が苦手で 嫌いに
なっていましたが、先生の授業は 今までの数学と違っていて、
素直にすごいと思う発見があって、数学って面白いんだなぁと思うように
なりました。

ありがとうございます。そういって頂けると 2日かかった採点の疲れも 癒されます。


次の答え。
問6
算数と数学の明確な違いは何ですか?
ひとつのつまらない答えは
「小学校までに習うのは算数で、中学校以上では数学」
ですが、そういうんでは納得できませんよね。
私も 何度か考えました。

こういうのは 誰かに答えを求めたりする前に 自分なりの意見を考えることをお勧めしますが、
つい最近、私なりに ちょっとそのことについて文章を書いているので
そちら(リンク先の10月31日のところ)を参照してみてくださいな。


次の答え。
問6
図1


計算機で知ったことなのですが、図1を見ながら読んでみてください。
まず 一番外の数字だけの3桁の足し算をします。

右回り:123+369+987+741=2220
左回り:321+147+789+963=2220

図1
また ひし形のように3桁の足し算をします。

248+486+862+624=2220

また 2隅と真ん中の3桁の足し算をします。

157+759+953+351=2220

また ななめの3桁の足し算をします。

159+951+357+753=2220

と、どれも2220になるのですが、どうしてか分かりません。
もしよければ説明してください。
図1
えーと 面白い計算を思いつきましたね。なかなかに面白い。
さて では どうしてなのか説明しましょう。

まず 最初に 次のことを考えてみてください。
君の書いた図1で 真ん中の「5」を通る 一列に並んだ3つの数字を
足してみてください。かならず 15になりますよね。なぜだか分かりますか?
これは 等差数列の性質です。等差数列では 並んだ3項の和は 真ん中の数の3倍になるからです。

このことを使うと 君の図1において 真ん中をはさんで対称な位置の
2数の和はつねに10になることがわかりますね。

さらに このことから 真ん中の5を中心にして 対称な4つの位置の
4数の和はつねに20になることがわかります。
つまり、1+3+9+7=2+6+8+4=20

さて 君が計算例にあげた 5つの足し算はすべて
ボタンの位置を 「5」を中心にして 90度ずつまわした数の和だね。
だから 足し算に現れる4つの数の
100の位の4数、10の位の4数、1の位の4数は
5を中心にした対称な位置の4数でして、

{2,4,6、8}か{1,3,7,9}か{5,5,5,5}

になっているわけです。

これらの和は20だから 1の位に20、10の位に20、100の位に20.
全部 繰り上がって 2220になるというわけ。

んー、文字だけで説明するのって めんどくさいな。。。
分からなかったら 研究室を訪ねてください。


似たような計算例
何月のカレンダーでも構いません。カレンダーを開いて
並んだ日付のうち 縦3ます 横3ますの 正方形状の9個の日付を
囲ってください。囲った数をすべて足すと正方形の真ん中の数の9倍に
なっているはずです。



次の答え。
問6
Q. 今ここにケーキがあります。
これを1/3にして、 それをさらに1/6で割ります。
さて答えは何でしょう?

答え:2


小学校の問題ですが、説明できません。
答えによるとケーキは2個になったことになります。
このことを小学生の子に「どうしてこうなるの?」
と質問されたら どう答えればいいのでしょうか?
私は実際に妹に質問されて 分からなくなってしまいました。
計算上は分数の分数の割り算は分母と分子を入れ替えて掛け算にして計算します。
でも どういうことなんでしょう。
どうして1/3にしたケーキが 1/6で割ることによって 2個に増えるのでしょうか?
小学校の妹にも分かる説明ってどんなものですか?

こういう話は 大学2年次の算数科教材研究(だっけ?)とかで 扱うはずです。
小学校では 単に 割り算といっても いろいろな意味があります。
そもそも 割り算を説明する際に 2通りの割り算があります。

1つめ、ある量を みんなで分ける場合の 割り算。
2つめ、ある量から 一定量を切り出していくと いくつできるかの 割り算。
たとえば 20個のあめを4人で分ける時の 一人分の量 が 前者。
たとえば 120人が 40人ずつバスに乗るとき 必要な台数 が後者。

上記の 例題では その部分が曖昧に記述されていることが原因です。
さらに 単に 1/6、1/3や 2 といっても これらは単に数ではなく
量を表す数です。(小学校では 数の意味には 2,3通りあります。)

上の1/3 ÷ 1/6 ですが たとえばこういう解釈ができますね。

1/3個のケーキを 一人1/6ずつ 分けるとすると 何人分ありますか?

もしくは こんな場合もあるかもしれません。

1/3個のケーキがありますが、これでは パーティーに必要な量の
1/6なのだそうです。パーティーに必要な量はいくらでしょうか?

小学生に 教えるときは 単なる式と考えずに 式の意味、数の意味、量の意味を
押させて説明しないといけませんね。
#こういう話が 教材研究の内容だったはず。


次の答え。
問6
四捨五入は本当に公平なのか って いつも疑問に思っていました。
0から9の数の出方に差がないときを考えると 本来の数を超える分が
5,4,3,2,1なので、たして15。本来の数を満たさない分が
4,3,2,1,0なので10。なので四捨五入をできるだけ公平に
するためには 5が2回でたとき 1回は捨てるべきだと思う。


あぁ、これ 私も小学生のとき 悩んだなぁ。笑
上で 君が述べたいのだろうな、と思われることを
もう一度 ここに書き出してみよう。

四捨五入する桁の数字が 5,6,7,8,9のとき
四捨五入する前の本来の数より 四捨五入の結果のほうが大きく
その差は それぞれ 5,4,3,2,1
これらを足すと 15。

四捨五入する桁の数字が 0,1,2,3,4のとき
四捨五入する前の本来の数より 四捨五入の結果の方が小さく、
その差は それぞれ 0,1,2,3,4
これらを足すと10。

つまり 四捨五入をすると、本来の数よりも 大きくなりがちだ!

とこう言いたいわけだな。いやぁ なかなか興味深い観察だ。
君が言いたいことは 半分正しくて 半分間違いだ。


まず 四捨五入するデータが 整数値のときと 実数値のときとで 話が違う。

実数値のときは 「数の出方に差が無い」というのは 値の種類の数ではなくて 値の範囲の大きさに注目すべきだ。
つまり たとえば 小数点以下を四捨五入する場合、
小数部分が
0.0〜0.499999999,,,,,, のときが 切捨てで
0.5〜0.999999999,,,,,, のときが切り上げだね。

さて 切り上げる量が0.5のときっていうのは 小数部分が 0.5ぴったりのときだけだ。
ちょっとでも 大きければ 切りあがる量は 4.99999999,,,,以下になるだろう。
だから 君の計算では 切りあがる量は 1,2,3,4,5 と書いてあったけど
切りあがる量に5がでる確率は 限りなく小さい。
それ以外の部分については 切り上る時と 切り下がるときとで 対称になっている。
だから 問題ないのだ。

さて、整数値のときはどうだろう?
1の位を四捨五入するとしよう。
このときは 1の位に 0から9が均等にくるとして良いだろう。
1の位が0のときは 四捨五入しても変わらない。
四捨五入して小さくなるとき 1の位は 1,2,3,4
四捨五入して大きくなるとき 1の位は 5,6,7,8,9
四捨五入したときの 値の変化の期待値は

(5+4+3+2+1+0−1−2−3−4)÷10 = 0.5

君の言うとおり 若干 数値は上がり気味になっている。



次の答え。
問6
(中略)これは幼稚園の頃なんですが、私の中で目をつぶって歩くのがブームでした。
いつもは誰かに手をつないでもらって目をつぶるのですが、その日はお姉ちゃんにも
お母さんにも嫌がられてしまい、一人で目をつぶって歩いていました。
目を つぶっていると何だか気分がふわふわして とても楽しくなります。
そして うきうき歩いていると、急に足が冷たくてぐちゃっとした感触が来ました。
そうです。私は溝に落ちていました。
楽しかった気分が一気にさめて、すごく 落ち込みました。
そして家に帰るとやっぱりお母さんに怒られ、お姉ちゃんにバカにされ
私は泣きました。(以下略)

あー、えーと、実は 私もその遊び好きです。(笑)
ただ、誰にも手をつながずにやったりはしませんが。

いまでも たまに、家内と コンビニに行った帰りに やったりします。

同好の士は初めて見かけました。(笑)
もう やめたとか言わずに、彼氏ができたら ぜひ 遊んでみてくださいな。