幾何学II
問6の答(2014年度版)
問6の答(2010年度版)
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問6の答(2002年度版)
平成27年度は、私、濱中の担当です。
授業の内容
- 第1回(H19年度)
集合の記法、演算について 基本的なことを話しました。
- 集合の記法
- 集合の包含関係、真部分集合、空集合
- 集合の要素の数、濃度
- 集合の演算、∪と∩、差集合と補集合
- ド・モルガンの法則
ノート(pdfファイル
)
- 第2回(H19年度)
集合の次は写像について話をしました。
集合XからYへの写像とは、
集合Xの任意の元に対して
集合Yのただ一つの元が対応するとき、
この対応のことです、と説明しました。
写像f:X → Y があったとき、
Xの部分集合Aに対して 像f(A)が、
Yの部分集合Bに対して 逆像f-1(B) というものが
決まります。
像と逆像、そして ∪と∩ の関係について述べました。
その後、単射と全射という言葉を説明しました。
単射と全射は 基本的な数学用語なので 正しく理解して下さい。
また最後に 「写像が全単射であること」と「逆写像があること」が
同じであることを話しました。
その他、包含写像、恒等写像、制限写像について説明しました。
- 第3回(H19年度)
まず、集合の積の話しと 商集合の話しをしました。
積集合については 写像の積についても説明しました。
商集合は 集合を同値関係で割ったものです。
同値関係についても講義しました。
同値関係とは 、二項関係のうち「反射律」「対称律」「推移律」を
みたすものですが、この定義だけを読むと 大変抽象的で 分かりにくいですね。
多くの例を通して、理解を促しました。
次に、濃度の話をしました。
2つの集合が有限集合ならば、
「その2つの集合の間に全単射があること」と
「その2つの集合の要素の数が同じであること」は同値です。
このことを拡張して、無限に要素のある集合にも「大きさ」の概念を
導入します。
つまり 2つの集合の間に 全単射があるとき、
それらの集合は濃度(=「大きさ」)が等しいと定義します。
自然数の集合は無限集合です。
自然数の集合とは異なる無限集合はあるでしょうか?
有理数の集合はどうでしょうか?
実数の集合はどうでしょうか?
実は 有理数の集合と自然数の集合は濃度が同じです。
そして、実数の集合は 自然数の集合より 濃度が大きいのです。
これで少なくとも 2種の「無限」があることが分かります。
ところが、実は どの「無限」にたいしても それより大きい「無限」がある、
つまり どの集合に濃度に対しても さらに大きい濃度をもつ集合が存在するのです。
- 第4回(H19年度)
集合というのは「もののあつまり」なんていいますが、
文字通り「もの」があつまっただけなので 何も構造がありません。
唯一、集合がもつ固有の情報は「要素の数」だけです。
これをもって、集合の話は一応終ります
ようやく 集合の話が終りとなり、ユークリッド空間の話をしました。
ユークリッド空間も集合の一つですが、単なる集合ではありません。
「距離」があります。
つまり、ユークリッド空間上の2点に対してその間の距離が決められています。
ですから ユークリッド空間内では 距離を変えない写像が重要となります。
ユークリッド空間内の距離を変えない写像のことを 合同変換といいました。
また 合同変換で移り合う図形を 互いに合同と呼ぶのでした。
例えば 平面内での 平行移動、回転運動、鏡映写像は距離を変えないので
合同変換の ひとつです。これらが 平面内での合同変換の全てでしょうか?
他には 合同変換は ないのでしょうか?
それについての証明を次週行います。
また、そのための準備として
「合同変換は1直線上に無い3点を1直線上に無い3点に移す」
ことを示しました。
- 第5回(H19年度)
まず、「合同変換fとgは 一直線上にない3点の行き先が同じなら
同じ合同変換になる」という話をしました。
つまり、3つの点での値をみれば
同じ変換かどうか判断できることになります。
これは合同変換の分類において 大変便利です。
第5〜7回で、平面内の合同変換を分類する話をしたいのですが、
最初のステップとして、
「平面内の合同変換は
平行移動τ と 原点中心の回転運動ρ と x軸についての鏡映σ を使って
τ もしくは τρ もしくは τρσ と表せる」
ことを示しました。
さて、τρ、つまり「回転してから平行移動する」って
どういう合同変換でしょう?
それを調べる準備として、回転移動が行列を使って表せること、
原点以外の点を中心とする回転移動がどういう式になるか、
を調べました。
最後に 回転移動と並行移動の合成がどうなるか、を
方眼用紙を使って 図示してみる計算実験、演習をしました。
- 第6回(H19年度)
前回のつづきで 並行移動と回転移動の合成を調べます。
実は τρは ある別の点についての回転移動になります。
このことを 前回示した式を用いて、示しました。
このことから、
「平行移動」 と 「平行移動」の合成
「平行移動」 と 「回転移動」の合成
「回転移動」 と 「平行移動」の合成
「回転移動」 と 「回転移動」の合成
のそれぞれがどうなるのか、がすぐに分かるようになります。
後半では 中心の異なる回転移動と回転移動の合成が どうなるのかを
作図実験する演習を行いました。
- 第7回(H19年度)
次に、さらに 鏡映が加わります。
「鏡映してから回転する」と どうなるでしょう?
「鏡映してから平行移動する」と どうなるでしょう?
「鏡映してから別の直線について鏡映する」と どうなるでしょう?
全部まとめて、
平面内の合同変換は 平行移動、回転運動、並進鏡映 に限ることを
証明しました。また それらの合成がどうなるか、をまとめました。
代数というのは 「演算について研究する学問」と言えます。
演算をもつ集合は色々ありますが、その中でも もっとも
単純なものが 群です。
合同変換の全体は ひとつの群です。
実は そのことがそのまま 合同というのが同値関係になることを示しています。
合同変換全体の部分集合、「すべて平行移動と回転移動の集合」も
群になります。このことは 「向きを保つ合同」という概念を生み出します。
- 第8回(H19年度)
さて、合同変換は この辺で 一旦終りにして、
線形空間(=ベクトル空間)の話をしましょう。
合同変換等の計算をするには ベクトル、行列、線形写像を
使うのが便利です。
この授業では、2、3次元のベクトルに話を限って、
一次独立、一次従属、生成、基底 等の話しをしましょう。
つぎに 線形写像、行列と線形写像、直交行列 の話をします。
この回では、ベクトル空間の定義と、
その定義に従って考えると どんなものになるのか?
を考えました。
それから 一次独立、一次従属の話をしました。
一次独立の定義は 初めて習う人には 分かりにくいですね。
授業では、実際に2、3次元では 一次独立というのが
どういう事になるのか 調べてみました。
- 第9回(H19年度)
授業の前、演習の時間では 一次独立、一次従属を
具体的な計算によって判別する方法を考えました。
また、いくつかのベクトルがベクトル空間を生成するという事についても
問題を通じて考えました。
さて、授業では一次独立、一次従属の話の続きから 基底の話をしました。
ベクトルの集まりa1〜anがあったとき、
その中のいくつかのベクトルが従属なら
もとのa1〜anも従属になってしまいます。
そんな話から始まって、序盤に 平面内の3つのベクトルは
かならず1次従属になることを示しました。
さて、
ベクトル空間Vのなかのいくつかのベクトルa1〜anが
・一次独立であって、さらに、
・Vを生成するとき、
基底と呼ばれます。
基底というのは大変重要です。
基底があれば、どのベクトルも基底の一次結合で唯一通りに表せるからです。
「唯一通りに表せる」というのは 学籍番号や住所と同じで、大変便利なのです。
さて、ユークリッド空間には距離がありました。
だから ただの写像ではなく 距離を変えない写像=合同変換が大事でした。
ベクトル空間はただの集合ではありません。
足し算とスカラー倍があります。
ですから 「足し算とスカラー倍」を保つ写像が基本的となります。
つまり、ベクトル空間の間の写像では、線形写像というものが重要です。
線形写像というのは ベクトル空間の「足し算とスカラー倍」を保つ写像
のことです。
さて、そのような線形写像を調べるのには 基底というものが大事です。
ベクトル空間VからWへの線形写像fは、Vの基底がfでどこに移るかで
すべて決定されてしまうのです。
(ちょうど 合同変換が3点の行き先で決まってしまうのと似ていますね。)
このことから 線形写像はすべて行列で表されることが分かります。
- 第10回(H19年度)
先週、「線形写像は基底の像で決まってしまう」という話をしましたが、
逆に「基底の像を好きに選んでも、指定した通りに基底が移る線形写像がある」
ことを最初に示しました。
これで、線形写像と 基底の像が 1対1に対応します。
では 実際、基底の像が指定されたときに線形写像を求めるには
どうしたらいいでしょう?
授業では その計算の方法を 何通りか 示しました。
具体的な線形写像の例として、
「原点を中心とする回転移動」と「原点を通る直線に関する鏡映」が
あります。これらの線形写像を表す行列を求める話をしました。
#鏡映の行列については 各自で取り組む宿題としました。
ところで、線形写像も もちろん一つの写像ですが、
線形写像はいつ単射でしょうか?全射でしょうか?
授業では R2からR2への線形写像 fについて
考えました。
線形写像fは2×2行列Aで表すことが出来ますから、
もしその行列Aが逆行列を持てば、逆写像があることになり、
全単射になります。つまりAの行列式が0でないなら全単射です。
では 行列式が0のときは どうなっているのでしょう?
そのときは 全射にも単射にもなりません。
- 第11回
演習の授業で 扱った問題を題材に、
固有値と固有ベクトルについて すこしだけお話ししました。
固有値と固有ベクトルは 理論としても重要だし、応用上も重要です。
ただ 今回の授業では あまり深入りせず、
固有方程式と、固有値を使った計算の話をしました。
次に内積について話をしました。
この授業であつかうベクトル空間はユークリッド空間の部分集合なので、
ベクトルの長さや、2つのベクトルの成す角度があります。
(実は、一般のベクトル空間では 内積が決まっているとは限らないのです。)
内積はそのような大きさに関する情報を扱います。
また、内積を用いると、平面内の直線の式を ベクトルの式として
捉え直すことができます。そのなかで、法線ベクトルや 直線と点の
距離の式を求めることができます。
- 第12回
まず 演習の時間に 鏡映写像を表す行列の計算をしましたが、
授業中、私が計算間違いをしてしまって紛らわしいことになってしまったので
計算結果をまとめたプリントを置いておきます。(授業中にも配りますが)
鏡映写像の行列に関する補足プリント
(pdfファイル
)
この回の授業では 式で定義された図形、つまりある式の零点集合を
平面から平面への写像で移すという話をしました。
まず 2次曲線について、ざっと復習しました。
高校のときに習う2次曲線は 楕円、放物線、双曲線で、その式は
ax2+by2=1、
もしくは、y=ax2+bx+c
というような 形をしています。
例えばax2+by2=1は x軸とy軸に関して対称な
楕円や双曲線を表しています。
では 傾いた楕円はどんな式になるのでしょうか?
回転移動は 線形写像ですから計算することができて、
傾いた楕円の式も求めることができるようになります。
すると その式には xyという項が現れます。
xとyの2次式としては一般的には
(*)-------ax2+bxy+cy2+dx+ey+f=0
という形が考えられます。
(*)はどのような形を表しているのでしょうか?
そのような一般2次曲線について話をしました。
計算が 繁雑になるので 途中計算はプリントで配ることにして、
板書をノートに写すことより 聴く方に集中してもらいました。
そのプリントをここにおきます。
一般2次曲線に関する補足プリント
(pdfファイル
)
- 第13回
この回では ランダムに点をうった画像のOHPシートと
その画像を横に1.05 倍に縮小し、縦に1.05倍に拡大したOHPシートを
すこし傾けたりして 重ねると2次曲線が浮かびあがるという実演をした後、
なぜ そのようになるのか?という話をしました。
横方向や縦方向への拡大、縮小、それから 回転移動。
これらは すべて平面上の線形写像です。
この線形写像によって 不変な2次曲線についてお話ししました。
この線形写像が 恒等写像に近いときは、
「ランダムドットの画像」と、
「その線形写像で変換したランダムドットの画像」を重ねるとき、
点と、その点の移った先が、近くにあるため
全体として その不変な曲線が浮かびあがるという訳です。
(今回の授業の内容は
数学セミナー 2003年5月号に載っていた小島 誠氏の記事を参考に致しました。)
授業展開についてのメモ
- 集合と写像
- 集合の記号 ユニオンとインターセクション
- ドモルガンの法則
- 写像とは何か。
- 単射と全射
- 集合の濃度
- ユークリッド空間
- 合同とは? → 重ね合わせることとは? → 合同変換
- 合同変換とは? → 距離を保つ写像 → 具体的には?
- 平行移動、回転運動、並進鏡映
- 合同変換の分類とその応用
- 群と同値関係
- 線形空間
- 低次元のユークリッド空間の部分空間について話すことにする。
- 一次結合、 一次従属と一次独立、基底
- 構造を保つ写像としての 線形写像
- 内積と距離、直交行列
- 一般2次曲線
- 線形写像の不変曲線としての2次曲線
定期試験 の 過去問!
幾何学IIは 私と小池先生と 2年毎に交替しています。